ACAP(公益社団法人 消費者関連専門家会議)とは

企業や団体の消費者関連部門の責任者・担当者で構成する組識として1980年に設立。ビジョンとして「消費者志向経営を推進し、消費者市民社会の実現を目指す消費者志向事業者団体」を掲げ、企業の消費者志向経営の推進、消費者対応力の向上、消費者、行政、企業相互の信頼の構築に向けて、各種研修、調査、消費者啓発活動、交流活動等を行っています。
ACAP村井理事長より、弊社永岩社長が、消費者志向経営についてインタビューを受けました。

「赤い羽根」共同募金が事業化への端緒

村井理事長(以降村井) : 御社は羽毛ふとんの工業生産では国内において草分けの企業です。創業の成り立ちには「赤い羽根」共同募金が深く関わっていると伺っています。

永岩代表取締役社長(以降永岩) : 日本で共同募金制度が始まったのは1947年です。当初、募金をされた方にはバッジを差し上げていましたが、もっと簡便な方法が検討され、「赤い羽根」が考案されました。この企画に参画していた初代社長の横田春夫が赤い羽根を制作・納入し、その際の収益を創業の資本とし、本格的に事業を開始しました。

村井 : 製造された羽毛製品は直販という形でお客様にお届けしていると伺っていますが、その経緯を教えていただけますか。

永岩 :  少し、弊社の歴史のお話しをしますが、創業は1950年です。
当初は逓信省(郵政省)に宿直用の羽毛枕や防衛庁に装備用シュラフを納入していました。しかし、当時の羽毛製品の原材料は陸鳥の羽毛で、品質の良さは水鳥にはかないません。そこで何としても水鳥の羽毛製品を製造するため、ドイツから羽毛ふとんを取り寄せ、品質や製造方法について研究を重ねました。その頃、羽毛ふとんは一般の方にはまだ普及していなかったので、主に医療施設を訪ね、羽毛ふとんについて説明しながら販売する「職域訪問販売」を行いました。転機になったのは58年です。群馬県の看護協会より推奨品の認定をいただき、看護師の方への直販ルートが開け、事業として見通しが立ちました。また、水鳥の輸入も本格的になり、高品質の製品を国内で製造して、お客様に直接、羽毛製品を届けるスタイルを確立したのです。今日でもお客様は主に看護師や学校職員の方で、直販であることから、お客様は弊社の目の前におられるのです。

創業哲学に込められた4つの高品質

村井 : 御社の経営理念の「お客様の笑顔」、「1人ひとりのしあわせ」、「世界の人々に喜びを」という言葉が心に残りました。どのような思いが込められているのでしょうか。

永岩 : 創業者の横田は、東洋羽毛は社員、商品、サービス、経営内容の4つの高品質をつくることで、お客様、社員、お取引先、株主へ4つの満足を提供していくことを創業哲学としていました。特に社員に対しては主体性を持って力を発揮すること、メンバーへの思いやりを大切にすることを説き、年齢や性別、学歴には関係なく平等にチャンスを与えられ、評価は実績に応じて、公正・平等に行うという精神を貫いていました。この考えをベースにして、経営理念があるのです。

経営理念とその実現に向けて社員の能力を伸ばす

永岩 : 「お客様の笑顔が見える商品とサービス」は、お客様の声に耳を傾けて、喜ばれる営業活動を行うということ。「のびのびと活力あふれ」は、社員1人1人の個性、能力、創意工夫による自由な発想・発意の尊重、全員参加による経営という意味です。「1人ひとりのしあわせがふくらむ経営」とは先ほど申し上げた平等にチャンスが与えられ、能力主義による公平な処遇、社員本人とその家族の幸せがふくらむ経営を意味しています。
「私たちは快適な暮らしの創造を通して」とは、羽毛素材や加工技術、睡眠の研究分野を出発点として、健康貢献企業を目指し、製品を提供するということです。最後の「世界の人々に喜びを広げます」とは、日本における羽毛製品メーカーのリーディングカンパニーとして、関係各国とのコミュニケーションを通して、国際的視野で貿易や研究開発に臨み、貢献していくということです。経営理念を浸透・実現していくためには、社員1人1人が自身の能力や仕事に誇りを持ち、自ら考え行動し、能力を伸ばす必要があります。営業担当者はお客様の睡眠環境の良いアドバイザーとなり、本社や工場の社員は高品質な製品とサービスを考案し提供していくことが大事だと考えています。

睡眠や寝具に関するセミナーに多数の講師を派遣

村井 : 社員の方の能力向上を図るために、どのような取り組みをされていますか。

永岩 : 2010年から「快眠生活アドバイザー」という社内の資格付与制度を設けています。「東洋羽毛商品全般の知識」や「睡眠・睡眠環境の知識」などを学び、その習熟度に応じて5段階でランク付けし、全ての営業社員に資格試験に挑ませています。また、本社・工場の社員には外部の関連団体が実施する寝具や睡眠に関する資格取得を推進しています。その結果、ほとんどの社員が何らかの資格を有しています。このような能力開発を実施したところ、睡眠や寝具に関するセミナーへの講師派遣依頼をたくさんいただくようになりました。多くの社員が全国の医療施設や学校などで講師として登壇し、実施回数は18年度が499回。今年度は既に500回を超えています。最近は睡眠が成長や学習効果に与える影響などから、児童・生徒、その保護者を対象としたセミナーへの依頼も増えています。

村井 : 意識の向上という点ではいかがでしょうか。

永岩 : 15年に本社や工場の社員が中心となり、経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰」にエントリーし、「中小企業 製造・輸入事業者部門」で優秀賞に選ばれました。17年には掛けふとんのマウンテンキルトが、19年には弊社独自の5つの分類技術と10にも及ぶ精製工程である「HARUO 工程」で精製した「HARUO DOWN」を充填した羽毛ふとんが、グッドデザイン賞を受賞しました。高品質路線の結晶とも言える工程で、それが評価されたのはうれしかったですね。このような評価を外部からいただいたことで、受賞に携わった社員はもちろん社員全員が誇りを持って仕事に向き合い、高い意識を持つことにつながっています。

製品と社員の高品質にこだわる

村井 : 高品質であるための取り組みやポリシーを改めて教えていただけますか。

永岩 : 70年間、事業が継続できているのは、高品質の羽毛製品であることに、とことんこだわって死守してきたから。より良い睡眠をサポートするためには、“本物の羽毛製品”を作っていかなくてはならないのです。そして、社員の品質にもこだわってきた。それがなぜかと言えば、弊社は職域訪問販売を主に展開しているので、目の前に弊社の製品やサービスを判断されるお客様がいらっしゃるということが、一番の理由です。

お客様相談室の歴史の中での消費者志向自主宣言

村井 : 寝具業界では先んじて17年1月に消費者志向自主宣言をされ、フォローアップ活動にも積極的に参加されています。

永岩 : 消費者志向自主宣言には弊社のお客様相談室の歴史が関わっています。30年以上も前に業界の中でも先駆けて消費者対応部門を設置し、そのころ横行したふとんの悪質商法の被害未然防止に向けて、お客様相談室が情報提供などに取り組みました。私もそのころ入社し、営業担当者として従事しておりましたので、消費者が中心の、安心できる市場づくりが大切であることは強く感じております。その歴史の中で消費者志向自主宣言をしたので、特別なことではなく、自然な流れだと認識しています。フォローアップ活動にある「ふとんの悪質商法注意啓発チラシ」において、消費者ホットライン(188)をお知らせしているのもこのような背景があるからです。

村井 : お客様相談室の位置付けはどのようになっているのですか。

永岩 : お客様相談室があるCS推進部は社長直轄の部署で、お客様の声を集約したものは、真っ先に私に届く仕組みです。必要な指示は私が直接出し、幹部会議などにおいて迅速な対応を行うことにしています。また、私は年に1度、全国の営業所を回り、この1年間にあったお客様からの苦情を再確認した上で、再発がないように指示しています。併せて、経営理念の浸透なども図っています

お客様の小さな声も取りこぼさない

村井 : お客様の声は製品の改良などにどのように活用されているのでしょうか。

永岩 : 弊社のお客様は看護職の方が多く、夜勤もあり短時間でも良い睡眠を取りたい、また、男性職員と仮眠用のふとんを兼用しているという声もいただきましたので、これに対応する製品「マイカミンケット(多機能寝袋)」を昨年開発し、ご好評をいただいています。また、お客様の強いご希望から、羽毛ふとんの宅配付きのクリーニングサービスの実施や、お客様のお近くのクリーニング店を紹介するサービスを行っていますが、場合によってはクリーニング事故も起こります。その費用についてもお客様にご迷惑が掛からないように努めています。やはりお客様が目の前にいるからこそ、1人1人のお客様の小さな声も取りこぼさず、対応していくことが大切です。

お客様に寄り添い、SDGsにも貢献

村井 : 最後に永岩社長が考える消費者志向経営とACAPへの期待を教えていただけますか。

永岩 : 消費者志向経営とはお客様に寄り添った経営と言えるでしょう。実現のためには当社の方針を具現化できる高いスキルを持った社員を育成することが大事です。また、SDGsへの積極的な取り組みも検討中です。原材料である羽毛は廃棄しても土には返りません。そのため、羽毛からケラチン成分を取り出し高機能なスキンクリームとして商品化しています。一方で、お客様がご不要になったふとんを積極的に下取りなどして、リサイクル羽毛を再活用する事業にさらに力を入れ、持続可能な社会の実現に向けても貢献してまいります。ACAPは業種を超えてさまざま企業が集う組織です。やはり消費者視点の先進企業の事例や消費者行政の方向性などを学びたいと考えています。

ACAP FORUM/2020.3/Vol.247 より出典

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